山口経済学雑誌

山口大学経済学会

1955

5(9・10) 合併号

中世初期に於ける「自然経済」

秋草 実

1、序、2、ピレンニユの自然経済観、3、カロリング時代に於ける貨幣制度、4、結び、よりなる。先ずピレンニユのいう自然経済は遠隔地貿易が行われていないという意味であつて、地方的市場を介して行われる小規模な取引まで消滅した社会を意味するものでないことを明かにする。次いでカロリング時代に行われた貨幣制度の改革がこうした小規模取引の発展によるものであり、従つてピレンニユのいう11世紀における商業の復活は、地中海貿易の復活だけでなく、先にのべた貨幣制度の改革を必然的たらしめた農村内部における経済の発展に基づくと説く。

日本語 / Japanese

第五部[西洋経済史]5-1.通載

5 European & American Economic History 5-1. General